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とりくみ

キッズ★クリエイターズ④ を開催しました!

2019年9月4日、佐賀県鳥栖市のまちづくり推進センターにて、第4回目となる『キッズ★クリエイターズ』を開催しました。

前回の帰り際に、「次回は何をやってみたい? ねぇねぇ、おせーておせーて!」と子ども達に聞いてみると、「プログラミングをやってみたい!」とか「ゲームを作ってみたい!」という要望が多く出ました。
天下無双の小学生からは、もっと想定外の要望が出てくるのではないか(ロケットを作りたいとか、サイボーグになりたいとか)と、内心ドキドキしていたのですが、普通に実現できそうなものだったので安心しました。
というわけで、今回からは『プログラミング』にチャレンジしてみます。

使用するプログラミング環境は、『Scratch』です。
Scratch は、ブロックを組み合わせていくようなアナログ感覚でプログラミングができるので、初めてでも直感的に使えるのが魅力です。
この直感的に使えるという部分は、小学生の段階では非常に重要なことです。
なぜなら、プログラミングを学ぶということは、プログラミング言語のような作業技術をマスターすることが目的では無いからです。
自ら課題を見つけ、その課題を分解したり組み立てたりしながら解決策を探り、自分なりに納得できる答えを見つけ出すという、いわゆる論理的な思考方法に慣れることに大きな意義があります。

つまり、思考方法に触れる以前に、高度な作業技術をマスターしなければ何も始まらないというのは本末転倒なのです。
そんな事をやっていたら、現在の公教育のように、いつの間にか手段と目的が入れ替わってしまいます。
プログラミング言語のような作業技術は、のめり込みさえすれば後からいくらでもマスターできるので、まずはプログラミング的思考ができる環境に没頭して、あれこれ自由に遊んでみることのほうが先です。
そういう意味では、Scratch は非常に優れものです。

ただ、論理的思考をするということは、ペーパーテストは得意でもサッカーは苦手とか、跳び箱は得意でもリコーダーは苦手とか、文章を書くのは得意でも会話は苦手とか、いろんなタイプの子どもがいるのと同じように、向き不向きというものが当然あります。
どんなに一生懸命教育しようとも、すべての子どもが論理的思考を得意になれるわけでは無いということです。
何が言いたいのかというと、ペーパーテストもサッカーも跳び箱もリコーダーも文章力も会話力も、得意であれば熱中させればいいし、苦手であれば気にせず他の得意なことを伸ばせばいいという、まったくもって単純な話なのです。
来年度から小学校で始まるプログラミング教育に関しても、向き不向きが絶対的に存在することを前提として取り組んでもらえればと思っています。

僕の経験によると、子どもにプログラミング教育を実施したから論理的思考力が身に付いたなんてことは一切ありません。
プログラミングにのめり込んでいくタイプの子は、そもそも論理的思考をするタイプの子であり、そのような特性を生まれた時から持っています。
さらに突っ込んで分析すると、この論理的思考力やプログラミング力を高い次元で極めるのであれば、軽度の自閉傾向があるほうが断然有利になってきます。
自らを定型発達と認識するシステムエンジニアの人なら、その理由になんとなく思い当たるところがあるのではないでしょうか?
オブジェクト指向をいまいち理解できない自分と、雑談ができないくせにプログラマーとしては天才的な不思議なあの人の違いって何!? … といった話はよく聞きます。
まぁその理由を誤解の無いように詳しく書こうとすると、かなーりの長文になってしまうので、この話はまた別の機会にコラムとして書くことにしましょう。

いずれにしても、向き不向きがあることを無視して、子ども達に画一性を求めてしまうと、将来つまんねぇ大人になってしまうので注意が必要です。
つまんねぇ大人というのは、指示されたことを早く正確にこなすだけの、20世紀に重宝されていたような人間です。
つまり AI にこき使われる人間であったり、AI に仕事を奪われるかもしれないストレスと戦い続けなければならない人間ということです。
決して AI にこき使われること自体が悪いわけでは無いのですが、僕の個人的な希望としては、目の前にいる子ども達の将来がそうであってほしくはないです。
ただ、本人がやりたい事は本人にしかわからないので、『将来は AI の奴隷を目指すぜい!イェイ!』と夢を語るのも、それはそれでアリでしょう。
その場合は20世紀型の学校教育を受け続ければ、スマートに目標達成できるはずです。
そのようにならないためには、自分に向いているものや潜在的に好きなものなど、なぜか何時間でも熱中できるようなものに対して、きちんと時間を費やし、それを自らの能力として極めるしかありません。
今回から始まるプログラミングとの出会いが、子ども達にとってそういう何かとの出会いのキッカケになれれば… と思っています。

…おっと、話が脱線してきたので戻しておきましょう。

前述の通り、子ども達からの要望に沿って、プログラミングによってゲーム制作にチャレンジしてみることは決定しました。
ただ、いきなりゲーム制作というのは、あまりにもハードルが高すぎます。
なので今回は、Scratch の環境に慣れることを目的として、まずは4コマ漫画を作ってみることにしました。
制作過程としては、4枚の絵を描いた後、各コマを表示させる秒数を設定するだけなのですが、プログラミングの基本的な考え方や、Scratch のルールに慣れるには十分な課題ではないかと思います。

制作中の子ども達の作品を見てみると、身の回りのものを題材として表現する子、ファンタジー世界を題材に3部作まで作る子、絵に凝りすぎて完成が遥か遠い子など、すでに作品や取り組み方にさまざまな個性が滲み出ています。
これはなかなかおもしろいことになってきました。
進捗状況の違いについては、個別の小さな課題によって調整するとして、各々がそれなりに納得できるところまでは、こだわりを持って制作に臨んでもらいたいところです。
いや、こだわりなんて持たない! といったこだわりを見せる子もいたりして、それはそれで僕をワクワクさせてくれますが。

さて、次回は、ひとまず全員が4コマ漫画を完成させて、順番に作品を発表してもらう予定です。
覚悟しておいてくださいね!

それでは次回、また教室でお会いしましょう!

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・前回の記事 → キッズ★クリエイターズ③ を開催しました!

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