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とりくみ

水曜!放課後!プログラミング!① を開催しました!

令和2年9月26日に、今年度はじめての『水曜!放課後!プログラミング!』を開催しました。
新型コロナウイルスの影響によって、例年よりも4か月遅れのスタートです。
しかも台風の影響による開催の延期もあったため、記念すべき第1回目の『水曜!放課後!プログラミング!』は、水曜日でもなければ放課後でもなく、土曜日の午前中という静かな陽だまりの中での開催となりました。
そのおかげで、放課後の場合は1時間ほどの授業時間しか確保できないところが、今回は2時間という贅沢な授業時間を確保することができたのでラッキーでした。

開催するにあたって

今年度は、昨年度までとは世の中の状況が大きく異なり、新型コロナウイルス対策を日常的に考える必要があります。
どのようなプログラミングの授業をやるか、ということよりも先に考えたことは、やはり「ソーシャルディスタンス」についてです。

まずは、3人用の長テーブルを2人で利用することで、子ども同士の物理的な間隔をあけることと、対面するような配置にならないことを意識しながら、会場のレイアウトを考えました。
また、星空のディスタンスを歌いながら、深夜にひとりで手作りした「小型のパーテーション」をテーブルの中央に立てることで、飛沫防止対策もとりました。

もちろん会場に入る際は、全員が体温計測と手指消毒を行ない、会場内は常に窓を開けた状態にすることで、空気がこもらないようにしています。

そのような感じで、ひとまず可能な限りのコロナ対策をとりながら、当日の開催に臨みました。

開催した感想など

今回の授業のねらいは、みんなで一緒に簡単なゲームを作りながら、Scratch の操作方法やプログラミングの考え方に慣れてもらおうというものです。
まずは、プログラミングのルールなどを、みんなで一緒に確認しながらゲーム制作をやってみました。
ひとまず完成させたゲームを実際にプレイしてみると、これが全くおもしろくないというか、いわゆるクソゲーなのです。
そこで、このゲームがなぜおもしろくないのか、その問題点を洗い出し、どうすればゲームがおもしろくなるかについて、みんなで議論してみました。
すると、「ゲームの難易度がずっと変わらない」とか、「クリアーがないから終わらない」とか、「がんばってもご褒美がない」などの問題点が出てきました。
それに対する解決策として、「敵の数が増えるようにする」 とか、「制限時間をつける」とか、「ゴールドみたいなものをもらえるようにする」などの案が出てきました。
このように、子ども達からいろいろなアイディアが次々と出てきたことが、僕にとっては非常にうれしかったです。
僕がこの教室でやりたいことは、まさにこの瞬間に感じたような、自由な発想で自らのアイディアを発表することなのだと改めて気づかされました。
それを第1回目から体験することができただけで、僕の中ではかなり満足感の高い1日となりました。

プログラミング的思考について

今回は、Scratch の操作方法やプログラミングの考え方に慣れてもらうことがねらいだと書きましたが、この『プログラミングの考え方』のことを、学習指導要領では『プログラミング的思考』と呼んでいます。
『小学校プログラミング教育の手引』によると、プログラミング的思考とは、『自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力』のことであり、小学校教育時に身につけるべき力とされています。

僕個人としては、そんなことはどうでもよくて、ある特定の思考方法を全員が獲得するために努力しなければならないというのは、あまり意味が無いと思っています。
A の思考をするタイプの子は A の思考力を、B の思考をするタイプの子は B の思考力を伸ばすことが、最も効率良くその子の独自の才能を発揮させることができるからです。
この3年間、子ども達とプログラミングをやってきて実感していることは、プログラミング教育をしたからといってプログラミング的思考力が伸びるなんてことはあり得ないということです。
プログラミング的思考力が伸びているように感じられる子は、そもそも生まれた時からプログラミング的思考をするタイプの子であるというだけです。
もっと言えば、人間も含めたすべての動物は、生まれた瞬間からプログラミング的思考に基づいて行動することで、それぞれの環境に適した『生きる力』を獲得していきます。
つまり『プログラミング的思考』とは、オプション的な能力を後付けで手に入れなければならないような類のものではありません。
自らが日常的に行なっている一つ一つの行動を客観的に観察してみて、一般的なルールに当てはめて省略することなどせず、改めてその行動の意味を深く考えてみれば、おのずと理解できるものだと思います。

例えば、自販機でジュースを買う時には、まずは缶にするかペットボトルにするかでピコピコ迷い、しばらく持ち歩く予定ならペットボトルが良いだろうと暫定的に決めておきます。
次にペットボトルカテゴリーの中からどんな成分のジュースにするかでピコピコ迷い、時間の経過でぬるくなる可能性があるなら乳酸菌飲料系は避けておこうとか、しばらく歩くので汗をかく可能性があるから水分補給を重視しようなど、未来予測や味の好みや体調管理のための成分により、スポーツ系飲料が良いだろうと暫定的に決めます。
体内の塩分濃度を考慮した選抜方法でピコピコ迷った結果、ポカリかアクエリが候補になるものの、アクエリに入っているクエン酸の魅力をとるか、それともポカリのラベルにに表記されている「無果汁」という文字を信頼して栄養成分表を見ると、そこにはしっかり「果汁」と表記されているという、子どもの頃に感じた矛盾をもう一度楽しむべきか…
などと深く深く思考して、最終的に無難なお茶に決めるわけです。
いやしかし待てよ、自販機は少し価格が高いから、近くのスーパーに行ってもう一度初めから考えることにしよう…
というわけでスーパーまでダッシュで行き、そこの飲料コーナーにて、今度は紙パック飲料も含めて、さらに壮大なる思考が繰り広げられることになるのです。

このような思考パターンは、日常生活を少しばかり(あるいはかなり)非効率にしますが、このような面倒くさい思考力を日常的に発揮できているかどうかが、『プログラミング的思考力』に大きくかかわってくると思っています。
本当の意味で『プログラミング的思考力』を育みたいのであれば、教室を飛び出して、自然の中とか町の中を歩きながら、さまざまな問題を体験を通して解決していくことが重要だと思うのですが、残念ながら履修型の教育ではそうはなっていません。
だとすれば、あるいはプログラミング教育の本当の目的は別のところにあるのかもしれません。

文科省は、プログラミング教育においてはプログラマーを育成することが目的ではないとしています。
ところが、経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」という報告書によると、日本の IT 人材は常に不足しており、2030年時点では最大で約79万人もの IT 人材が不足すると予測されています。
10年後がどうなっているかなんて誰にもわからないのだから、その時点で多くのプログラマーが必要なのかどうかは微妙なところだと思うのですが、子どもの頃からプログラミングに没頭してきたような優秀なエンジニアが、今この瞬間に多く必要なのは間違いないでしょう。
このような問題を受けて、政府は2020年度から小学校でのプログラミング教育を必修化したわけです。
つまり、プログラミング教育によってプログラマーを育成するわけではないものの、プログラマーが育成されてほしいという単なる願望がある、といった感じでしょうか。
もうわけがわからないですね。
すべての子どもに、メディアリテラシーに関する教育を学校で実施することは必要だと思うのですが、プログラミングに関しては、やりたい人はやればいいし、やりたくない人はやらなければいいという、ただそれだけのような気がします。

なんかもう、話がメッチャ脱線しましたが、それもまたいとをかし。
第1回目の開催が無事に終了できてよかったです。

次回の予定

次回は、今回の続きです。
ゲームのキャラクターがどこかに消えてしまったなど、それぞれにいい感じのトラブルが発生している状況なので、それらの問題を解決しながら、ゲームに BGM を入れたり、エンディングのシーンを作ったりしていきたいと思います。

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